まるびのナイフ考



まず始めに明言しておきます。
私にとってナイフは「道具」です、「武器」ではありません。

ナイフは有用な道具であると同時に危険な武器にもなります。これは事実です。
有用な道具である野球のバットや包丁ですら殺傷能力はあります。
、 この二つの性質を分かつ境界はただひとつ 「持つ人」です。
現在の日本社会においてナイフを「武器」や「護身用」と捉えている方は私との志向が完全に異なり
ますのでこの先を読む意味はありません。
そのようなアホンダラな人達はさっさと檻に入って世間から隔離されることを切に願います。

たとえ非実用的な軍用ナイフであっても、それが好きでフランスパンを切るために使っているのであ
れば何も問題はありません。
色々なナイフをコレクションしてニヤニヤするのも大いに結構です。
但し、たとえふざけてでも絶対に人には向けない。
そして、威圧感を感じるであろう人たちの前では当然、道徳的配慮を持っている。
このようなことを理解できる人達だけこの先を読んで頂きたいと思います。


私はアウトドア活動が好きなのでナイフは欠かせません。
登山に行く時にはビクトリノックスと鉈は絶対に必要なもので特に釣りの場合には魚を料理するため
に無くてはならないものです。


その1.初めてのナイフ

釣りを始めたと同時に一本のナイフを買いました。
大手釣具メーカーの製品で、錆びない切れないステンレス製のものです。
今から考えると本当に切れませんでしたが、当時お金のないガキだった私にはその一本が全てでした。
以後十年近くそのナイフ一本を使っていました。


その2.折れたナイフ

ある日の池原ダム。
その日の釣果は30〜45cmのバス約20匹、にやけた顔で晩御飯用の手ごろな2匹をキープして
テントに戻ります。
キャンプの楽しみはその日の獲物を料理した夕食。「さて、今日はバター焼きじゃあ。」と、ナイフ
に力を入れた瞬間、「バキッ」っと鈍い感触と共にナイフが二つに折れ、右手の拳が思いっきり岩を
パンチすることに。
「あ・・・」としばし無の境地。
やがてゆっくりとしかし確実にやってくる痛みと出血・・・
目には涙が溢れ、「次はちょっといいナイフを買おう。」と決意を固めたある夏の夜の出来事でした。


その3.新しいナイフ

ナイフを新調すべくアウトドアショップ経営の友人のところへ。
私  「一番頑丈なナイフをちょうだい。」
友人 「はい、これ。」

かくして購入したのは バック社の#110。
確かに丈夫そうですが刃は厚くて重く、しかもハンドルが金属製なので魚用には不向きです。
お魚さん用には薄刃でポイントが鋭くて、しかも錆びにくいハンドルでなくてはいけません。
ほとんど使うことなくバック#110は手放すハメに。
「どうせ買うのなら納得のいくモノにしよう。」と色々なナイフを探し始めた結果、どんどん
ナイフが増えてきました。
不思議なもので、ある程度ナイフが増えだすとあとは勝手に増えだすんです。
ナイフ好きだと知れるとお土産がナイフだったり、プレゼントにもらったり、物々交換の対象
がナイフだったりで気が付くと小物も含めて100本近くになっていました。

すると今度は、「こんなにあっても仕方無いや。」ってことで、どんどん処分にかかります。
そのようなことを繰り返しながら今の状態になっています。
まだまだ多すぎると思うので、処分は続けていますが。


その4.選抜ナイフ

色々なナイフを使ってきて淘汰の結果、落ち着いたのがこれ。

1.ビクトリノックス トラベラー
  何処に行くにも必ず持っています。
  ナイフではできない作業をハサミが見事にカバーしてくれるので、
  これ一本で大抵のことはできるでしょう。
  他人に恐怖感を与えず、気軽に使えるのも重要なことです。

2.ガーバー アーモハイド シリーズ
  シンプル・イズ・ベストの典型でしょう。
  ブレードの薄さとポイントの鋭さ、切れ味抜群の材質、最高ですね。
  A450が最もオススメ。

3.スパイダルコ デリカ
  フォールディング・ナイフの傑作です。
  片手でオープンできるので、片手に竿を持った状態からでも使用できます。
  又、登山の時にはザイルでぶら下がった状態で片手でオープンできるのは非常に便利です。
  大きなサムホールがあるおかげで冬山で手袋をしたまま扱うこともでき、樹脂製のハンド
  ルは軽くて水に強いだけではなく低温時に凍りつくこともありません。
  独特のブレード形状のおかげでポイントは鋭く、親指のホールドの良さも相まって魚を〆
  るのに最適。本当に良いナイフです。


その5.自作

ある日、超高級ナイフを多数置いてあるお店に行きました。
ン十万円もするカスタムナイフがズラリ。
今までそのような超高級ナイフなんぞ気にもしなかったのですが、その日は何気なくそれらを
眺めていたところ目についたのは スゲー高価な ○○氏作 カスタムナイフ です。
ところが細かなところをよ〜く見ると大したことないんです。
「あー?、こんなのでン十万円もするの?」
「これやったら自分で作ったほうがええわー。」
です。

それから色々とナイフのことを調べて自作し始めて今日に至ります。
基本的に私が作るナイフは、鋭めのポイントを持つドロップ・ポイントでフルタング、フルフ
ラット・グラインドにミラーポリッシュ、そしてパーツは全てステンレス製。
電動工具はボール盤だけで、あとは金ノコ、ヤスリ、砥石、サンドペーパー。
まあ、ホビー感覚でのんびりと作っていたので一本作るのに半年〜1年くらいかかりますが、
今までに数十本は作りましたね。
親しい人や、お世話になった人にけっこう進呈しましたので手元に残っているのはHPで公開
しているものだけです。

最近は面倒なので作っていませんが。けっこう楽しいもんですよ。自作。